退職金を一時金でもらうと税金はかかる?計算方法や注意するポイントも解説

退職金を一時金でもらうと税金はかかる?計算方法や注意するポイントも解説

退職金を一時金でもらおうと考えているが、税金はかかるのだろうかと心配になっていませんか。

一時金でもらう場合「退職金支給額」「勤続年数」によって、税金がかかるケースがあります。

また退職金をもらう際に必要な書類の作成をしなければ、税金を多く徴収されてしまう可能性もあるのです。

この記事では、おもに以下の内容を解説していきます。

  • 退職金受給時の税金徴収の可能性
  • 退職金を一時金でもらうときの注意点
  • 徴収される税金の計算手順(3ステップ)

この記事を読むと、あなたの退職一時金にかかる税金がわかり、税金を払いすぎる心配もなくなります。

目次

退職金を一時金でもらうと税金徴収される可能性あり

退職金を一時金でもらうと税金徴収される可能性あり

退職一時金の税金は「退職金支給額」「勤続年数」によって、源泉徴収されるケースがあります。

源泉徴収とは、給与や退職金をもらう前に税金や保険料が差し引かれるしくみです。

勤続年数が短いにもかかわらず退職金の支給額が大きいほど、税金を徴収される可能性は高くなるといえます。

退職金を一時金でもらう場合にかかる税金の種類

退職金を一時金でもらう場合にかかる税金の種類

退職一時金が課税対象となる場合、以下3種類の税金がかかります。

税金の種類 税率
所得税 5~45%
復興所得税 2.1%
住民税 10%

出典:退職金と税|国税庁

復興所得税と住民税の税率は一律ですが、所得税は退職金支給額と勤務年数を考慮して算出される「課税退職所得」によって税率が変わります。

課税退職所得が多ければ、税率も比例して大きくなるのです。

【見逃し厳禁】退職金を一時金でもらうときの注意点

【見逃し厳禁】退職金を一時金でもらうときの注意点

退職一時金の受給手続き時に「退職所得の受給に関する申告書」が未提出だと、以下のようなデメリットがあります。

  • 退職金の支給額や勤務年数に関わらず「20.42%」の税金が源泉徴収される
  • 確定申告しなければ払い過ぎた税金が返ってこない

支給額や勤務年数を考慮した税率ではなく、強制的に20.42%の税率がかかり、税金を多く徴収される可能性があります。

確定申告をすれば払い過ぎた税金は返ってきますが、手間や労力がかかってしまうでしょう。

退職所得の受給に関する申告書は、会社が用意してくれる場合もありますが、自身で準備・作成・提出しなければならないケースもあります。

国税庁の公式サイトではフォーマットを用意してくれているため、下記のページから事前に取得しておくと安心です。

[手続名]退職所得の受給に関する申告(退職所得申告)|国税庁

退職金を一時金でもらう際にかかる税金の計算手順【3ステップ】

退職金を一時金でもらう際にかかる税金の計算手順【3ステップ】

具体例を用いて、退職一時金にかかる税金額を計算してみます。

計算の手順は以下のとおりです。

  1. 勤務年数と退職金支給額を調べる
  2. 計算式を使い課税退職所得をもとめる
  3. 課税退職所得から税額を算出

順番に手順をみていきましょう。

手順1:勤務年数と退職金支給額を調べる

勤務年数は、入社年月日と退職日年月日の差でもとめられます。たとえば以下のような社員がいるとしましょう。

  • 入社年月日:2010年4月1日
  • 退職年月日:2014年5月1日

上記の場合、勤務年数は「4年1ヶ月」となりますが、退職一時金にかかる税金の計算をするときは、年未満を繰り上げるため「5年」です。

退職金支給額は、それぞれの企業が定めている「賃金規定」「就業規則」から調べます。

みつからないときは、勤務先の「総務部」「人事部」など、人の管理をしている部署の従業員に確認するとよいでしょう。

手順2:計算式を使い課税退職所得をもとめる

以下の計算式に、調べた「勤務年数」「退職金支給額」をあてはめ「課税退職所得」をもとめましょう。

勤務年数によって、使用する計算式が異なる点には注意が必要です。

  • 勤務年数20年未満:(退職金支給額-40×勤務年数)÷2
  • 勤務年数20年以上:退職金支給額-(800+70×勤務年数)÷2

今回は勤務年数「5年」退職金支給額「400万」とします。

(400万円-40×5年)÷2=200万円・・・課税退職所得

ちなみに計算結果が「0」の場合は、税金がかかりません。以降の手順は不要です。

手順3:課税退職所得から3種類の税額を算出

もとめた課税退職所得に税率をかけ、3種類の税金を算出します。

まずは「住民税」をもとめましょう。

「手順2」でもとめた課税退職所得は200万円、住民税は一律10%であるため以下のとおりです。

住民税:200万円×10%=20万円

つづいて下表を使い「所得税」をもとめてみます。

課税退職所得 所得税率 控除額
195万円以下 5%
195万円超~330万円以下 10% 9万7500円
330万円超~695万円以下 20% 42万7500円
695万円超~900万円以下 23% 63万6000円
900万円超~1800万円以下 33% 153万6000円
1800万円超~4000万円以下 40% 279万6000円
4000万円超 45% 479万6000円

出典:令和5年分 源泉徴収税額表|国税庁

「手順2」でもとめた課税退職所得は200万円でした。したがって所得税は以下のような計算でもとめられます。

所得税:200万円×10%-9万7500円=10万2500円

「復興特別所得税」は一律で所得税の「2.1%」であるため以下のとおりです。

復興特別所得税:10万2500円(所得税)×2.1%=2152円

※1円未満の端数は切り捨て

最後にもとめた3種類の税金を足し合わせます。

20万円(住民税)+10万2500円(所得税)+2152円(復興特別所得税)=30万4652円

結果「退職金支給額400万円」「勤務年数5年」の人が退職する場合に源泉徴収される税金は30万4652円となるわけです。

ちなみに退職事由が「自己都合」「会社都合」どちらであっても、計算方法や源泉徴収される税金は変わりません。

退職金を一時金でもらったら給与所得に加算されるのか?

退職金を一時金でもらったら給与所得に加算されるのか?

一時金でもらう退職金は「分離課税」に該当するため、給与所得に加算されません。

分離課税とは給与所得や一時所得などほかの所得と合算せずに、税額を算出する制度です。

退職金から税金が源泉徴収されて、税金の支払いは終わります。

退職金一時金の税金は正しい税率で源泉徴収してもらう

退職金一時金にかかる税金は「勤務年数」「退職金支給額」により、大きく変わります。

源泉徴収される税金額を事前に調べ、実際に受け取れる退職金額を把握しておきましょう。

また正しい税率で源泉徴収してもらうために、退職金を受け取る前には「退職所得の受給に関する申告書」を提出してくださいね。

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この記事を書いた人

金融関係の記事を執筆しながら、趣味のコーヒーに関する情報を発信しています。
2級ファイナンシャル・プランニング技能士保有。

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